Field of Ideas

ルービックキューブの日本大会で2度(2007年、2012年)チャンピオンになったことくらいがとりえの、社会の歯車によるブログ。

ルービックキューブじゃ、飯は食えない。/実際ルービックキューブだけで、どれだけ稼ぐことができるのか。

スピードキューブという競技で長年トップに立っていて、なおかつ学生の身分でいると、しばしばこんなことを言われがちである。

 

「ルービックキューブを仕事にすればいいじゃん」、と。

 

その発想に至るのはまあ仕方の無いことであろう。

何かで一番になったという経験が無い人からしてみたら、その経歴はとても輝かしいものに見えるのだろう(自慢)。

 

だが、その提案に対して、私はいつもこう返している。

「君はヨーヨーの達人がいまヨーヨーだけでどれほど稼いでいるのか知っているのかい?」と。

たしかに1997年にバンダイが「ハイパーヨーヨー」を出して一大競技ヨーヨーブームが起きたとき、

そのブームに乗じてヨーヨーの達人が様々なメディアに引っ張りだことなった。

かつて漫画にも登場していた中村名人は、日収50万円を超えたこともあるそうだ。

だが、ブームが終焉した今、彼らは単純にヨーヨーだけでは生計を立てられなくなったのである。

ある者はヨーヨーと全く関係ない職に就き、またある者は......どうなったかは僕の知る所ではない。

ブーム時にあれほど稼ぎをあげた中村名人も、今はごく一般的な会社員として働いているのだ。

 

あれほどのブームを作り出した競技ヨーヨーですら、それ一本で「食えない」のだ。

況やさほど流行っていないルービックキューブをや(どうでもいいですが、況や〜をやって表現、大好きです)。

 

ここまで書いてふと、3月に書いた記事を思い出した。

 

 

http://m-gunji.hatenablog.com/entry/2013/03/17/232040

 

様々な心境の変化があった中で書いた記事なのだが、

これをブログに書いちゃうということは、つまりオレがまたなにか心の中である「変化」を起こそうということなのだろうか。

これ以上続けるとxxになっちゃうヤバいヤバい...

 

まあそれはともかくして、まず上記事を引用する。

ルービックキューブを人より早く揃えられるじゃん」と言うかもしれないが、それに対する反駁が存在する。

 

「それで食えると思っているのか?」と。

 

以上の例はみな、才能を生かして「生計を立てている」のだ。

私の特技であるスピードキューブでは、それが出来そうに無い。

「キューブでも生計立てられる人がいるじゃん、たとえばtriboxはそうじゃないか」と思う人がいるかもしれないが、

私はtriboxのスタッフとは違い、キューブ界に貢献しながら生計を立てるということが、残念ながら出来ないと思う。

ショップを開けるだけの地盤やコネクションも無ければ、より良い商品を届けるための技術も無いのだ。

そうでなければ、スピードキューブ一本で食って行くなんて無謀である。せいぜい年収5万が限度なのではないだろうか(世界大会の賞金は獲得難易度が非常に高い上に費用対効果があまり良く無いので除く)。

それにもかかわらず、私が現時点でモノになったのがルービックキューブを早く揃えられること「だけ」という事実が痛いのだ。 

半年以上前の時点でこんなことを考えているあたり、僕は相当なまでに落ちていよう。 

まあ、今は他に「頑張っていること」がぼつぼつとあるので、その当たりは大丈夫であるが。

 

私が抱いている「キューブだけでは稼げない理由」はだいたい上記の通りだが、

今回はこれについてもうひとつ捕捉をしたい。

 

私が知りうる限りでの「ルービックキューブだけで最も稼いだ男」は、ご存じ中島悠である。

氏はYouTubeにルービックキューブを揃える動画を多数アップロードしており、常識では考えられないような再生数を叩き出している。1個の動画で700万再生を稼いだキューバーは、世界中を通して見ても彼だけである。YouTubeの広告収入だけみても、相当な金額にのぼると思われるのだ。

 


Rubik's Cube: 10.56 seconds - YouTube

 

(ちなみに上の動画がそれである。アップロードされた6年前には破格のタイムだったのである)

 

だが、これを合計したところで、果たしていくらになるのか。

まさか本人にそんなプライベートなことを聞く訳にもいかない(笑)ので、YouTubeの再生数から広告収入を概算する。

ただ、今は公開されていない動画もいくつかあり、なおかつ「何回再生されたらいくら入るのか」「どういう形ならば収入が入るのか」という公式情報がない(あってもすぐに見つからない)ため、正確な数字を出すことが出来ない。

その前提の上で計算結果を公表すると、

 

「だいたい、300万円前後」

 

......もちろんこれが本当かどうかは私の知る所ではない。

この結果を見て「なんや、ルービックキューブいけるやん!」と思った人も少なからずいるかもしれない。

だが、これはあくまでも中島さんが稼いだ(と思われる)6年間の合計である。

もちろん再生数が多かったor少なかった時期があると思うので「いつ、いくらくらいもらえたのか」という正式な数字は分からないところだが、

とにかく世界で一番稼いだ(と思われる)中島さんで、この程度なのである。

そして私のようなトップと言えども知名度が世界レベルにあるわけじゃない私ではこの領域にたどり着くのは難しいことであろう。

ちなみに現世界チャンピオンFeliks Zemdegsの動画も軒並み再生数が多いが、中島さんのそれより多いか少ないかという検証は、今の所保留としておく。面倒なのだ(ぇ

 

お分かりいただけただろうか。

以上をふまえても、私には「ルービックキューブじゃ、飯は食えない」としか結論を出せないのである。

 

「じゃあお前はどうやって生計を立てるのだ?」

 

んー、色んな肩書きをもってたくさんの仕事をこなすことかな!理想はみうらじゅんです!!

 

「なにいってだこいつ」

「就活しろ」

 

......はい。