運動神経悪いキューバー/底辺ボウラーGUNJI
運動神経の悪い男。
これが私のアイデンティティである。
50m走のタイムは、小1時で15.6秒。中3時で9.8秒。持久走はいつもビリの方だった。
球技をやらせれば球の速さに体が追いつかないし、そもそもまともにキャッチできない。
水泳を習ってもクロール50mを1分で泳げる程度にしかならなかった。
体力テストはいつも底辺スコアに近いものだった。
ルービックキューブを早く解けるようになり、自分の動きをイメージできるようになるまでは、ひどいものだった。
そういえば、中3のときに体育でソフトボールをやったことがあるが、
私が打席に立つときに、相手チームが「GUNJIシフト」を組むのである。
一塁手と三塁手が、露骨なまでに前に出るのだ。運動神経が鈍い故、バットに当たってもボールが飛ばないだろうと予想していたのである。
バントシフトどころの話ではない。私だから良いが、他の人だったら最早いじめのレベルである。
私はこれを逆手にとって「お前らがそう来るなら、普通の人のサードゴロあたりを打てばヒットになるんだろ?」と思い、練習を積み重ねたが、
結局私は打率.000のまま終わったのである。
そんな運動神経の悪い男である私だから、たとえばボウリングをやらせてもひどいものである。
まず、球がまっすぐいかない。だからと言って、きれいに曲がるわけでもない。
コントロールが苦手なのだ。
ボウリングのセオリーとしてレーンの▲を目がけて投げるといい、というのは知っているのだが、狙った▲にボールが行かないのだ。
したがって、ガターをよくするのだ。特に初回はひどいもので、ガターが続いて糞スコアになってしまうのだ。
ガター有りのベストスコアは、おそらく72くらい。 がんばってもこれがやっとなのだから始末に負えないのだ。
先日の大阪旅行内で行ったボウリングもまあひどい有様であった。
まあまあ上手い友人に連れられて行ったのだが、僕は行く間際になって彼らに対して断りを入れた。
「僕はボウリングが下手だ。おそらくひどいスコアになるかもしれない。それでもいいのかい。」
だが、こうは言ってもボウリングぼっち観戦は割ときついものがある。
私は渋々ながらボウリングのゲームへ参加することとなった。
第一ゲーム目。
第一投、ガター。球が狙った所に行かない。
第二投、ガター。またもレーンの外に納まる。
......立ち上がりからしてコレである。
終わってみればスコアは、なんと46。もちろん一回たりともスペアすら取れていないのだ。
だが、周りの友人も私より低くは無いものの、低調であった。
100を越えた人がいなかったのである
「これは私の勝利がワンチャンあるんじゃないか......?」
私はそう信じて、ボウルを投げ続けることを決意した。
...しかし、神様は非情である。次のゲームも、56というスコアで収まってしまった。
友人たちは悠に100オーバーのスコアを出しているのにもかかわらず、だ。
私は友人達に、ある情けない願いをした。
「頼む、オレだけ、バンパーを付けてくれ。」
つまり、私だけガターが起こりにくくなるよう、レーンにバンパーをつけてもらうように直訴したのだ。
その後、私の熱意ある(?)説得により、私にだけバンパーを設定するようになった。
途中、手が滑ってボウルを後ろに投げてしまったり(幸いケガ人はいなかった)、親指の爪がボロボロになりながらも、私は最後まで投げ通した。
すべては、良いスコアを得るために。
絶好のチャンス。私のスコアは、果たして......!?
(もちろん、私のスコアは上から三番目である)
あ......れ......。
......はっきり言おう。私にとって、ボウリングのようなゲームが1回450円くらいだなんて、どう考えてもコストパフォーマンスが悪い。
まだゲームセンターに行って音楽ゲームを4回やった方が満足できる。
ゲームセンターのゲームは大抵収益を上げるために上級者向けの難易度で作られてあるのだが、
あのゲームこそ、上級者のためにある。それほどに、ボウリングは難しい。
私にはそう思えてならないのだ。
「クソだな。じゃあお前、何のスポーツなら出来るんだよ?」
......実況パワフルプロ野球。
「テレビゲームじゃねえか!!もういいよ。」
「「ありがとうございましたー」」