ルービックキューブは、誰でも目隠しをして揃えることが出来る!(ただし記憶術と解法を覚えた上で)
今回はスピードキューブの中でも、ここ2年で最も進歩している競技の紹介をしたいと思う。
皆さんはルービックキューブと言うと、何を連想するだろうか。
少なくともキューブを買ってやり込む前の私にとって、ルービックキューブは「やたらと難しいパズル」だった。
これを自分が解けるようになるなんて思いもしなかった。
ましてや配列を覚えて目隠しをした上で揃えるなんて、絶対に出来ないと思っていた。
だが、2012年3月。今からちょうど一年前。
私は大会の目隠し競技(Blindfoldedと呼ばれている)において、成功を収める事が出来たのである。
もちろんこれに至るまで時間と練習を積み重ねたのは言うまでもない。
ただ、目隠しをして解く方法はルービックキューブを解ける人からしてみたら、とても明快なものであり、
私のような短期記憶力に乏しい人でも、根気を持って練習すれば、不可能ではないのだ。
まず、ルービックキューブを目隠しをして揃える方法を会得する前に必要な能力は、自力で解けることと、ルービックキューブの回転記号を読めること。
完成タイムは何分かかっても問題無い。
自力で揃えられるくらいの地力さえあれば、方法をマスターするのはそれほど難しく無いのだ。
以下、追記にて解法と記憶術の解説をしよう。
はじめに、「目隠しをして揃える方法」の説明に入りたい。
記憶法から説明するよりは、実際にどんな動きを以てキューブを揃えるのかを覚えることによって、
記憶術のイメージがつきやすくなると思うからである。
目隠しをした際にネックとなるのが、「正しい位置に入れたいパーツを入れた時に、他のパーツの色が崩れてしまう」ことである。
流石に目隠しをした上でキューブを回しながら54個の色の状態をしっかり把握することは、難しい。
そんなことが出来る天才はまずいないだろうし、それが出来たとしても速いタイムで揃えることは出来ないだろう。
これを解決するには、なるだけ他のパーツに影響を与えないように揃えるしかない。
現在Blindfolded競技で主流の解法は、ほぼすべてこの考え方によってなされているのだ。
(記事とまったく関係ないが、蓮爾 さんこま(三軒茶屋駅と駒澤大学駅の間にあるためこの名前らしい)店の小ラーメン。ラーメン二郎を名乗ってもおかしくない程に二郎らしい味わいだった)
目隠しをしないで揃える解法も多種多様なものがあるが、
Blindfolded用の解法もピンからキリまであるのだ。
私は特に、Old Pochmann Method(英語でオールドポックマンメソッドと読む)をおすすめしたい。
この解法はたった1~3個の手順と最低3手のセットアップだけで揃えるという、初心者向けの解法なのである。
ところが、この解法は最近になるまで日本語で解説されているwebサイトが無かった。
故に、日本ではこの魅力的な解法を知っている人が少なかったのだ。
今年に入ってから、ろーだいさんがOld Pochmannのコーナー(角にあるキューブ)を揃える解法を解説しているページをアップロードされたので、興味がある人は参照していただけると幸いである。
http://roudai.net/bld/old-pochmann_corner/
では、エッジ(辺にあるキューブ。メガハウスはサブキューブと呼称)の解法を解説しているサイトは無いのか?と言うと、現状、無い。
私もエッジ用Old Pochmannこそ知っているのだが、なにしろキューブのエッジは12個もあるのだ。
それを1個の手順でひとつひとつ入れていくのは、あまり効率がいいとは言えない。
さて、ここまで「Old Pochmann」と言ってきたが、ここまで読んでこう思った人はいらっしゃるだろうか。
「New Pochmann Methodは無いの?」
もちろん、ある!
ただし、New Pochmannはその解法の特性上、「M2/R2 Method」と呼ばれるのだ。
名称の意味は回転記号を読める人なら察しがつくだろう。
その中で、エッジに対応しているのが「M2 Method」なのだ。
こちらはOldと比べて覚える事が多いが、その分手数がぐっと少なくなるのだ。
この解法を解説している日本語サイトは、日本におけるBlindfloded競技のパイオニアの一人である「ももんが」さんがアップロードされていらっしゃるので、
そちらを確認してほしい。
http://geniusshop.web.fc2.com/cube-solution.html
解法の説明は以上である。続いて、記憶術の説明に入ろう。
まず、センターパーツ以外のキューブのステッカーに、番号を振るのだ。
コーナーとエッジを別個のものとして考えるのである。
海外のキューバーはアルファベットを、日本のキュービストはひらがなを振ることが多い。
ちなみに私はキューブ達にひらがなをあてがった。
番号を振ったら、あとはステッカーの「正しくあるべき位置」を追っていくのだ。
そして、追っていった結果を記憶し、目隠しをした後その通りにキューブのパーツを正しい位置にはめこんでいくのである。
これが、目隠し競技における記憶術である。
覚える量は、コーナーの分で8つ、エッジの分で12個程度。
つまり、8文字の列と12文字の列をすばやく別々に覚える能力が必要となるのだ。
覚え方は何でも良い。丸暗記でもいいし、語呂合わせを作っていくのでもいい。
最近の目隠し競技トップランカーの覚え方は、なんと事前に2文字に対する語呂合わせをつくり、それを組み合わせるというものである。
これによって、20字もの記憶量を10秒くらいで覚えることが出来るのだそうだ。
以上、この2つさえ出来れば、誰にでもルービックキューブを目隠しをして揃えることが出来るのだ。
ちなみに、現在の世界記録はこちらである。
Marcell Endrey 3BLD 26.36 WR at Euro2012 ...
この人は高度な解法を使っているが、私が紹介した記憶術と解法だけでも、記憶込みで1分を切る事は不可能ではない。
まだ挑戦したことがないというキュービストは、ぜひともblindfolded競技にチャレンジしてほしい。
きっと、新しい世界が開けるはずだ。
というわけで、私もぼちぼち目隠しをしてキューブを揃える練習をしたいと思う。
毎日10回はやるぞ!!
「あの、キューブ辞めたんじゃなかったんですか?そんな暇があるんだったら大学の勉強をしてください。今の状態だと卒業できないんじゃないですか?」
......ええ、がんばります。