Field of Ideas

ルービックキューブの日本大会で2度(2007年、2012年)チャンピオンになったことくらいがとりえの、社会の歯車によるブログ。

イタリアのメタルバンドRhapsodyが紡いだ物語 -外伝 Emerald Sword-

今回の記事はにほんブログ村内のトーナメント「聴けよこの曲 2」のために書いたものである。

タイトル通り、色々な人に聞いて欲しい曲を紹介するブログ記事の巧拙を競うというものだが、これならば僕にも語れるものがある。

私の中でもっと日本で評価されるべきだと感じている洋楽が、ひとつあるのだ。

 

Rhapsodyの「Emerald Sword」だ。

Emerald Sword

Emerald Sword


Rhapsody-Emerald Sword (Official Video) - YouTube

 

まあ、過去ログを読んでいる人にしてみたら「それかい!」って思われるだろうけれども。

(以下、いつものように、長文です。)

 

 

この曲についてはご存じの方も多いと思われる。

この曲をレビューしているサイトも星の数ほどあるから、それを今更にわかメタラーの21歳大学生(文系)が「この曲は云々」と言うのは少々烏滸がましいと感じる。

それでもなお、この曲について書きたいことは山ほどあるので、先人レビュワーとなるべく書いてある内容が被らないよう気をつけつつ、曲の紹介をしたい。

 

このEmerald Swordはただ盛り上がりのいい曲であるだけではなく、転調の凝らされた技巧的な曲でもあるのだ。

コード覚えたての中2が作れるような曲では無いのだ。

それでいながら、とてもキャッチーで、大仰なのだ。ひとたび聞くだけで否が応でも頭にフレーズが焼き付いてしまうことだろう。

私のように何百回と聴いている人間なら尚更だ。

 

この曲はまず、h-mollのキーで幕をあける。ギターが唸り、冒険の幕が上がるのだ。

8小節(BPM180で計算)ギターソロが続いた後に、ドラムが入り、バックに力強いコーラスが入る。

8小節後、今度はg-mollに転調。ヴァイオリンのソロが入る。スタジオ版のそれは生音であろう。

 

そしてやはり8小節後、遂にFabioの歌が入る。日本歌謡用語で言うと、Aメロの始まりである。

「I crossed the valleys the dust of midlands...」

ふむ、氷の戦士(詳しくは以前の記事を参照)はミッドランドの砂埃や谷を横切り......

 

「歌詞は別にいいです」

 

えぇ?まあ、いいか。いずれアルバムをレビューする時に要約を書くだろうし。

 

さて、歌に入ると今度はc-mollに転調する。

c-mollにとってのGminorはドミナントの関係であるから、理にかなった転調ではあるのだ。

どこかの作曲家みたいに「適当に転調したらすっげえかっこ良くなった!」みたいなことでは無いのである。たぶん。

他にも、ギターとベースのユニゾンが大変気持ちいい。これだけでも聴くものを勇壮な気分にさせるのだ。

 

16小節後、Bメロに入る。ここではブラスセクションが鳴り響き、さらに勇壮なる気分を高める。

 

「On the way to the glory, I'll honour my sword...」

 

ん?このメロディー、どっかのゲームの主題歌で聞いた事あるような......

 

 


GONG JAM Project - YouTube

(01:07くらいから)

 

 

うん、聞かなかった事にしよう。忘れる事も大事。メロディーが被るなんてよくある事だし。なによりそっちの方が後だし。

プロデューサーはメタル好きっぽいから、分かっててやってる可能性もあるがw

 

 

さて、Bメロまで行ったら、次はいよいよサビ、と普通のPOPSなら展開してゆくのだろうが、

Rhapsody(作詞作曲をしたLuca Turilli)はここで一旦溜めるのである。

一旦、ストリングスアンサンブルによる間奏を挟むのだ。

ここにも8小節をかける。じっくり、溜めるのだ。

 

そして、2番に入る。

「Finally happened the sun lit their eyes...」

ふむ、遂に太陽ががそれの目を照らすのか...

 

「だから歌詞の解説はいいです」

 

そうですか。

 

さあ、2番のAメロBメロが終わったら、いよいよサビだ!

合唱!

 

 

For the King!

For the Land!

 

 

For the Mountains!!

 

 

 

「うるさい」

 

そ、そうか。

とにかく、メタル史に燦然と輝くサビである。

私が初めてこの部分を聞いた時に、その迫力に鳥肌が立ったものだった。

英語圏ではサビのことを「Chorus」と呼称するそうだが、

このEmerald Swordのサビはまさしく「合唱」である。

この部分はライブでもオーディエンスによる合唱が巻き起こる。

スタジオ版ではLucaやキーボードのAlexも合唱に参加しているそうだ。

 

ちなみにサビでもまた転調をする。今度はas-dur。

なんと、サビは長調、メジャーキーなのだ。

マイナーキーからのメジャーキーの開放感は音楽好きなら重々知っていることであろうが、

このEmerald Swordでもその効果が非常に生きているのだ。

 

そして、1回目のサビが終わって、長い間奏に入る。

間奏はまたマイナーキーに戻る。c-mollで演奏されるのだ。

Luca Turilliによるギターフレーズが鳴り響く。

Lucaは基本的に細かい音を詰め込む演奏方法(スウィープピッキング等)を得意とするが、

この曲のソロではそれを封印(バッキングでのトレモロは多用している)し、メロディ弾きに徹しているのだ。

そこがまた、この曲の力強さをつける効果を成しているのではないかと、私は思うのだ。

 

間奏の後半はストリングスアンサンブルが入り、シンフォニックな様相を成してゆく。

深く、重厚なサウンドをもって、緊張感が高まってゆく(テンションとは書かない。音楽的にちょっと違う意味になってしまうからだ)。

 

間奏を終えて、3番に入る。

「Only a worrior with a clear heart...」

えー、清らかな心を持つ戦士のみが...(以下省略)

 

3番のAメロBメロが終わったら、もちろんサビで締めるのが王道!

さあ、みんなもう覚えたな?合唱の時間だ!!

 

For the king!

For the Land!

For the Mountains!!

 

「またかよ...」

 

おい、そこ、元気無いぞ!お前も歌うんだよ!!

ちなみに最後のサビは2回繰り返すからな!!さん、はい!

 

 

FOR THE KING!!

 

 

 

FOR THE LAND!! 

 

FOR THE MOUNTAINS!!

 

FOR THE GREEN VALLEYS WHERE DRAGONS FLY!!!

 

FOR THE GLORY THE POWER TO WIN THE BLACK LORD

I WILL SEARCH FOR THE EMERALD SWORD!!!!!!

 

(ジャン!!)

 

 

......ちょっと一人で盛り上がりすぎた。

 

 

というわけで、Emerald Swordの紹介である。

最後の方は私の気分があまりにも高揚してしまったせいか、最早レビューではなくなってしまったが、ご容赦いただきたい。

もしこの文章を読みながら曲を聞いて、私のように気分が高揚してきた人がいるならば、

どうか色々なRhapsodyの曲を聞いて欲しいと思うのだ。

そしてこの曲をきっかけにシンフォニックなヘヴィメタルを聞く足がかりにしてくださったら、私はまるでこの曲の作者のように嬉しいのだ。

 

 

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